もう一度モンゴルの話になる。忘られない経験だから。
羊の屠殺を見たことの話だ。地元の人々は私たちの夕食のパーティーのために羊を屠殺した。印象深いことだった。
まず、モンゴル人は三歳以下の羊を殺さない。肉が柔らかくても、十分に生きていないと思うからだ。非常に生物と「生きる」ことの価値を考える人たちだと思った。
それと屠殺は。羊はもちろん逃げようとしているが、一度背中に落とされているからもう心配していないようだ。全然戦いしないで、そのままで待っているのだ。そのときモンゴル人はナイフで腹を少しだけ切っている。ここは羊は痛みが感じないところだ。だからここでも羊は全然対抗しない。次、モンゴル人は優しそうに手を羊の体に入れて中の大動脈を引きちぎる。これも羊が感じない。一分の間、羊が眼を閉めて、だんだんと死んでしまう。
それから家族の全員が参加する内臓を取り出すの仕事が始まる。
動物の品位を傷付けない屠殺の仕方だ、と思った。生きるものに対する尊敬を表すモンゴル人。